審査時間を最大90%短縮へ――Bee Informaticaが取り組むAI審査システムの導入
2026年4月2日
マレーシアの金融業界では、AIの導入が急速に進んでいます。Bank Negara Malaysia(マレーシア中央銀行)のデータによると、国内の銀行の71%が何らかのAIを導入済みです。ただし、その主な活用領域は不正検知・顧客分析・オンラインでの本人確認が中心であり、ローン審査への本格的な活用は、一部の先進的なプレイヤーに限られているのが現状です。
たとえば、P2P(個人間)融資大手のFunding Societiesは、機械学習を活用した信用スコアリングの開発に取り組んでいます。また、中央銀行からライセンスを取得した5つのデジタルバンク(GXBank・AEON Bank・Boost Bank・KAF Digital Bank・Ryt Bank)のうち、GXBankとRyt Bankの2社が消費者向けローン審査にAIを活用しています。しかし、貸金業全体でAI審査を実装しているプレイヤーはまだ少数にとどまっています。
AI審査とは?Bee Informaticaの取り組み
AI審査とは、財務データや面談内容をAIが自動的に分析し、審査スコアを算出する手法です。人間の判断を補完・加速するものとして、金融業界で注目を集めています。
Bee Informaticaでは、業界の最新動向を積極的にキャッチアップ。その知見を活かし、独自のAI審査システムの開発・導入を進めています。当社のAI審査は、大きく2段階で構成されています。
第一審査(定量審査)――財務データの自動分析
申請者が銀行明細などの財務書類をシステムにアップロードすると、AIが自動的に読み込み、審査スコアを算出します。従来は人手で行っていた集計・分析の工程をAIが担うことで、処理速度と客観性が大幅に向上しました。
第二審査(定性審査)――経営者の資質をAIで評価
第二審査では、経営者の事業理解度・数字の把握力・財務リテラシーなどを評価します。これまでは、オンライン面談(カメラオン)を通じて担当者が手動でスコアを記録していました。
現在開発中の次のステップとして、面談の録画・音声データをAIがテキスト化し、以下の3軸で5段階評価を自動生成するユニークな仕組みを構築しています。
・声質から読み取る感情の安定性
・回答の一貫性
・内容の正確性
この仕組みにより、従来30分かかっていた面談評価が、5分以内に完了する見込みです。最終的な審査判断は審査委員会が行い、AIが生成したスコアをもとに議論・確定します。
なぜ今、AI審査を導入するのか
AI審査導入の背景には、大きく2つの理由があります。
1つ目は、お客様へのメリットです。審査が早く完了するほど、融資の入金も早まります。従来の銀行は2〜3か月かかるところ、現在は審査完了まで2〜3営業日かかっています。これが、AI活用により最短1営業日での振り込みを目指しています。審査時間の短縮は、資金需要が急ぎのお客様にとって大きなメリットとなります。
2つ目は、急増する審査量への対応です。近年、審査件数は数倍規模に拡大しており、今後もさらなる増加が見込まれます。限られた人員で質を維持しながら対応するために、AIによる業務効率化は不可欠な選択です。
AI導入で気づいた新たな価値
AI審査を進める中で、思いがけない気づきがありました。それは、「声の情報」の豊かさです。
従来の面談では、担当者は発言の内容(言葉の意味)に集中するあまり、声のトーン・自信・安定感といった非言語情報を見落としがちでした。しかしAIが声質を分析することで、人間では気づきにくかった情報が数値として可視化されるようになりました。
「審査が速くなった」というだけでなく、「AIだからこそ気づける情報が審査に加わった」――これがBee Informaticaが実感するAI活用の真の価値です。
今後のAI活用の展望
Bee Informaticaでは、審査精度のさらなる向上を目指し、継続的に開発を進めています。また、審査工程の外にもAI活用の範囲を広げています。
・顧客対応:AIコミュニケーションツールを導入開始しました。
・回収業務の初期対応:AIによるコミュニケーション支援を活用中です。
テクノロジーの力で、お客様へのサービス品質と社内の業務効率を同時に高めていく――Bee Informaticaは、マレーシアの貸金業界における新しい価値提供を目指し、これからも挑戦を続けます。
参照: Fintech News Malaysia – List of Digital Banks in Malaysia
参照: The Edge Malaysia