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銀行に頼れないマレーシアの中小企業。日本人起業家が現地で挑む「スピード融資」の市場とは

16 Jun 2026

マレーシアのSME(中小企業)は、2024年時点で同国のGDPの約39.5%を占め[1]、MSMEは全事業者数の96.1%を占めています。[2] SMEはマレーシア経済の中心でありながら、その多くが銀行融資にアクセスできない状況に置かれています。この構造的なギャップに着目し、テクノロジーを活用したスピード融資で市場に切り込んでいるのがBee Informatica(ビー・インフォマティカ)です。 

稲田史子というファウンダーが体現するもの

Bee Informatica(ビー・インフォマティカ)を率いるのは、稲田史子(いなだ ふみこ)CEOです。イギリス留学後、マイクロファイナンス発祥の地であるバングラデシュで実務経験を積み、その後マレーシアへ渡りました。金融包摂の現場を複数の国で体感してきた彼女が、マレーシアのSMEオーナーが直面する資金調達の壁に着目しました。

Bee Informatica(ブランド名FundingBee)がユニークなのは、その起業の順序にあります。多くの日本の金融系企業が本国で基盤を固めてから東南アジアに進出するのに対し、稲田はマレーシアで先にBee Informaticaを立ち上げ、その後日本法人のビー・インフォマティカ株式会社を設立しました。ビジネスの出発点は、あくまでマレーシアのSMEオーナーとその課題にあります。

マレーシアのSMEオーナーはどんな場面で融資を必要とするのか

マレーシアのSMEが資金を必要とする場面は、必ずしも経営難の時とは限りません。むしろ、ビジネスが順調に成長しているからこそ、資金が追いつかない局面が生まれます。

典型的なシナリオはこうです。飲食店オーナーが大口の仕入れ契約を獲得した。製造業者が予想外の大量受注を受けた。小売店が繁忙期を前に在庫を積み増す必要がある。いずれも、数日以内に資金を動かせなければ、せっかくのビジネスチャンスを手放すことになります。

こうした「急いでいる経営者」にとって、タイミングがすべてです。受注の機会は次にいつ来るかわかりません。成長のあかしである急な受注に即座に応えられるかどうかが、その後の事業拡大を左右します。

実際の顧客の成功事例集(英語サイト)

融資の選択肢と、FundingBeeが埋めるギャップ

マレーシアのSMEが利用できる融資の選択肢は、大きく三つに分類できます。

一つ目は、TEKUN Nasionalなどの政府系マイクロファイナンスです。金利は年4%程度と低く魅力的ですが、審査に数か月を要する場合があり、急を要するケースには対応しにくい面があります。二つ目は、P2Pレンディングプラットフォームです。銀行より柔軟ですが、投資家とのマッチングに数週間かかることが多いです。三つ目は、銀行融資です。金利面では有利ですが、3年以上の業歴や黒字実績を求めることが多く、成長途上のSMEには高いハードルとなっています。

FundingBeeはこの三つのどれでもない位置に立っています。審査はテクノロジーによるスコアリングで行われ、承認は最短数営業日。RM5,000からRM50,000の融資を、オンラインで完結する申し込みプロセスで提供しています。金利は政府系より高くなりますが、「今すぐ動けるかどうか」が勝負を分ける経営者にとって、スピードは金利差を上回る価値を持ちます。

日本からの資金調達という独自モデル

FundingBeeがマレーシアのSMEに貸し出す原資は、主に日本の機関投資家から調達しています。稲田は四半期ごとに日本へ帰国し、投資家との関係を継続的に深めています。

日本のスタートアップエコシステムは近年急速に整備が進み、海外で事業を展開するファウンダーを支援するVCやアクセラレーターも増えています。日本人であること、そのエコシステムに深く根ざしていること、そしてマレーシアで規制に準拠した融資事業を運営していること。この三つが組み合わさることで、ほとんどのマレーシアローカルレンダーには開けない資金調達ルートが生まれています。

リスク管理と規制面の透明性

FundingBeeはマレーシア住宅・地方自治省(KPKT)のライセンス(No. WL7517)を取得しており、規制当局の監督下で事業を運営しています。与信審査はテクノロジーを活用したスコアリングで行われ、属人的な判断に依存しない仕組みを構築しています。手数料は事前に開示され、8%の一回限りの処理手数料と年利16%という条件は申し込み前から明示されています。

これまでに400社以上のSMEへの融資実績を持ち、F&B、小売、自動車関連サービス、製造業など多様な業種に対応してきました。

マレーシアのSME融資市場は、銀行と非公式な貸し手の間に大きな空白地帯を抱えています。稲田史子が日本とマレーシアの両方に軸足を持ちながら構築してきたFundingBeeのモデルは、その空白を埋める現実的な解として機能しています。

その背景には、稲田自身の経験があります。資金調達がうまくいかず、プレッシャーに押しつぶされそうになった時期、暗闇の中を歩いているような感覚を覚えた時期がありました。そのとき力になってくれたのが、APT Womanをはじめとする支援プログラムでした。(APT Womanでの経験についてはこちら

だからこそ、同じような状況に置かれているSMEオーナーの力になりたいという思いが、FundingBeeの根幹にあります。正しい情報と適切なパートナーがあれば、それはビジネスチャンスを掴むための、確かな一歩になります。

詳細・お問い合わせは jp.bee-informatica.com へ。

[1] マレーシア統計局(DOSM)「MSME Performance 2024」dosm.gov.my 

[2] SME Corp Malaysia「Profile of MSMEs in 2015–2024」 smecorp.gov.my

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